ぎっくり腰

ぎっくり腰は、急に起こる激しい腰痛のことを指します。
非常に強い痛みをともなうため、欧米では「魔女の一撃」と呼ばれる場合もあります。

ぎっくり腰は、突然痛みが生じた際の擬音語「びっくり」「ぎっくり」が由来に考えられている通称です。
正式な負傷名は「腰椎捻挫」や「急性腰痛」となっています。

筋肉や靭帯など脊柱まわりの軟部組織を損傷し、炎症が起きた状態と考えられています。
しかし、医学的には、ぎっくり腰が生じるメカニズムは解明されていません。
※当院では、脊柱起立筋など腰部の筋肉が過度に緊張して肉離れのような状態になったり、腰椎の一部位に負荷が集中して靭帯や椎間板を損傷したりした状態と考えています。

特に朝に起きることが多く、ベットから起きた瞬間やトイレで立ち上がったとき、顔を洗うとき、布団を上げたときなど、腰を曲げたりひねったりした際に発生しやすいです。

ぎっくり腰というと、突発的な障害のイメージが強いかもしれません。
しかし、多くは蓄積された疲労やダメージが原因で、痛みとなって現れたものだといわれています。

日常生活で腰に疲労やダメージを溜める要素として、次のものが挙げられます。

 

不良姿勢（骨盤のゆがみ）

猫背や反り腰といった不良姿勢によって、腰まわりの筋肉に負担をかけてしまいます。
また、身体の土台となる骨盤のゆがみも、腰部に負担をかける要因の一つです。

 

長時間の同一姿勢

同じ姿勢が長く続くと、腰まわりの血行が悪くなり、筋肉の柔軟性も低下していきます。
デスクワークや車の運転など、座っているときのほうが腰への負担が大きいといわれています。

 

身体の使いすぎ（オーバーユース）

スポーツや肉体労働によって、腰部に疲労を溜める場合があります。
「腰をひねる」「前屈みで重たいものを持ち上げる」といった動作にて、腰部に負担がかかりやすくなっています。

痛めた直後の炎症が強く出ている時期になります。
腰まわりに突然激しい痛みを生じ、立ち上がれなくなる方も多いです。

体幹の動きが制限されて「前屈みになれない」「腰を伸ばせない」「寝返りをうてない」など、日常生活にも支障が出やすくなっています。
急性期は、受傷後の1〜3日間が目安になります。

時間の経過とともに炎症は落ち着き、慢性期に移行します。
急性期の激しい痛みや熱感は緩和し、徐々に身体を動かせるようになります。

痛みや動作制限はしばらく残りますが、1週間から長くても数週間ほどで、自然と痛みが消失していくことが一般的です。

ぎっくり腰の症状が、次に挙げる病気から引き起こされている場合もあります。

脊椎の病気（椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、脊椎すべり症）

脊柱の病気によって神経が刺激され、強い腰痛を発症する場合があります。
椎間板に亀裂が入り、中から髄核と呼ばれるやわらかい組織が飛び出る「ヘルニア」、加齢や負担の蓄積で脊柱が変性してしまう「脊柱管狭窄症」「脊椎すべり症」などがあります。

 

内臓の病気

尿結石や腎盂腎炎、急性膵炎、腹部大動脈解離など、内臓の病気から強い腰痛を生じるケースもあります。

原因により処置法が異なります。
「安静にしていても痛みが悪化する」「下半身にしびれや脱力感がある」「発熱症状がある」など何か異変がありましたら、早急に医療機関にご相談ください。

カウンセリングによってぎっくり腰の原因をできる限り見極めて、施術を行います。

 

冷却

患部に熱感がある際は、氷水によってアイシングします。

 

筋肉の緊張緩和

手技や電気によって、痛みの原因となる筋肉の緊張をほぐしていきます。

 

ストレッチのアドバイス

患者様の状態にあわせて、ストレッチの方法をアドバイスします。

 

電気療法

もともと人体には「生体電流」と呼ばれる微弱な電流が流れており、外部からの電気刺激に反応しやすい特性があります。
その性質をうまく活用して、電気療法では外部から電気的な刺激を加えることで筋肉をほぐし、血流を促進していきます。
筋肉のもみほぐしや血流改善のほかに、患部の鎮痛効果や、筋力トレーニングの効果も期待できます。

 

ボディケア

手技療法によって筋肉・筋膜の緊張をゆるめ、身体のバランスを整えていきます。
痛みやこりなどがある箇所に限らず、全身の緊張をほぐしていくことが特徴です。
筋肉をもみほぐすことにより、硬くなっていた筋肉の緊張がやわらぎ、筋収縮力や関節可動域の回復や老廃物の排出が期待できます。

 

リハビリトレーニング

もみほぐしやストレッチなどで筋肉の緊張が緩和するため、関節を動かしやすくなります。
また、患者様自身にも身体を動かしてもらうことで関節まわりの柔軟性が向上し、可動域が広がっていきます。
また、施術によって身体のバランスがよくなるため、運動中の筋肉や関節にかかる負担も軽減できます。

基本的にぎっくり腰は、1週間〜数週間程度で痛みや動作の制限は改善します。
筋緊張や身体のゆがみをそのままにしていると再発する可能性があるため、予防として2〜3ヶ月は施術を続けていただくことをおすすめします。

ぎっくり腰の多くは、時間の経過とともに自然と回復していきます。
しかし、なるべく初期の段階から筋肉の緊張をゆるめ、血流を促しておくと症状がよりスムーズに改善しやすくなります。
また、痛みが緩和した後も、筋肉の緊張をほぐしておくことが大切です。
ぎっくり腰の痛みでお困りの方、再発を予防したい方は、なるべく早めに整骨院にご相談ください。

安静にする

ぎっくり腰の発症直後は、安静を第一にしてください。
無理に動くと炎症が悪化し、より症状を長引かせる可能性があります。

 

冷やす

熱感がある場合は、袋に入った氷水を当てて患部を冷却しましょう。
炎症を抑えられるほか、アイシングによって痛みの緩和も図れます。
一度の冷却時間は10分間が目安です。

基本的には安静と冷却によって、症状は落ち着いていきます。

温める

炎症が落ち着きましたら、ホットパックや蒸しタオルなどを当てて腰のまわりを温めましょう。
血流をよくすることで、痛めた組織に酸素や栄養が運搬されやすくなります。
※「温める」「冷やす」の判断がむずかしい場合は、やってみて楽になるほうで構いません。

 

身体を動かす

2.3日を目安に、なるべく通常の日常生活を送るようにしてください。
安静にしすぎると脊柱まわりの筋肉が硬くなり、より症状を長引かせてしまうためです。
しかし、炎症を強める可能性がありますので、無理はしないようにお気をつけください。

背中が丸くなっていたり、腰が強く反っていたりすると、腰部の緊張を強めてしまいます。
頭頂部が天井から吊るされているようなイメージで、背中を軽く伸ばした姿勢を意識しましょう。
また、骨盤のゆがみにつながるため「足を組む」「片足に体重をかけて立つ」など、アンバランスな身体の使い方はなるべく避けるようにしてください。

座っている姿勢が長いと、椎間板や腰まわりの筋肉に負担をかけてしまいます。
デスクワーク中も30分〜1時間を目安に立ち上がり、軽く歩いたり体操したりと身体を動かすようにしましょう。

湯船に浸かることで、全身の緊張をゆるめられます。
身体の内側から温められるよう、40度前後のぬるめのお湯に10〜15分を目安にゆっくりと浸かりましょう。

睡眠中に身体に溜まった疲労が回復していきます。
規則正しい生活を心がけ、毎日7時間以上は睡眠時間を確保するようにしてください。

腰まわりの筋肉が硬くなっていると、ぎっくり腰を起こしやすくなります。
腰部を中心に、股関節や太ももの筋肉をストレッチでやわらかくしておきましょう。
また、予防として腰部の筋肉を定期的にほぐしてもらうこともおすすめです。